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片葉の葦(アシ)

もうひとつ仕事用に書いているブログにのせたものを
ここをのぞく佐賀のがばいばあちゃんのために 書き込んでみました。

私の父は定年退職後 親鸞上人が上陸の地 新潟県直江津市(現上越市)居多ケ浜の記念堂で堂守りとして働いていました。
親鸞を通して知り合えた 紀野一義さんの書かれた本があるのですが
そこに父の手紙が紹介されています。
私はその本を1冊もらっていたのですが
日々の生活や子育ての中で ゆっくりと読む事もなく しまったままでした。
きのう 何年かぶりに手に取って読み返し 父が私にこの本をくれた意味が今になってしみいるように伝わってきました。
その中の抜粋をここをたずねてくださったかたに紹介したいと思います。
この本を読んだかたが この本を手にし 父をたずねて あの丘の上から 日本海の蒼い海をみてくださったというのです。
以下 父の手紙から…。

私の堂守りの親鸞上人記念堂の丘に越後七不思議の一番「片葉の葦」が群生しております。普通 茎の両方に葉が出ているのですが、片ほうにだけ並んででているので「
片葉の葦」と言われております。私もここの堂守りを始め、この片葉の葦のことがわかりませんでした。どうして不思議といわなければいけないんだろうと思いました。
春の陽の中に出た柔らかい芽がどんどん伸びて行くにつれて、いままで両方に出ていた葉がみんな片葉になる。
片ほうだけに寄ってしまうわけです。
海を渡る強い北風のせいかなあと私は始め思いました。ここの参拝者もみんなそんなふうにみておられるようです。
しかし、この葉の向きを長い間かかってよく見ますと
即ち、片葉に並んでいる方向を見ますと、北風に向かって、海のほうに一斉に向いているのです。
こういうことは、北風のせいでないことがわかってきます。
青い海原に一斉に向かっています。
これは海の青い光の方向に葦の葉が一斉に向かっていることがわかります。太陽の光が大海原に反射して、青い青い色彩がひろびろとひろがっています。
海には光がいっぱいです。葦は光を求めています。
「これは草木の習性だ」とまた言えるかもしれません。
しかし、草木がどうして光を求めているのでしょうか。
草木だけでなく、一切の衆生みな光を求めています。このことが、衆生の思議を超えている。思う事も議る(はかる)こともできないことのように思います。
よって不思議であると私は思います。
常識的に「草木は光に向かって育つ」と言ってみても、その本質の光は思議しつくせぬものと思います。
その思議しつくせぬものが、片葉の葦として現れる。
不思議と言ってもわからないことではない。
おおいなる心に感応して現れる。
ここに仏教の不思議がある。
大切な不思議なことばがあると、私は思っています。

父の手紙はこのあとも続きますが…。


いいなあ
せいせいするなあ

今年の夏は あの丘に私も立ってみよう。
by rurikoi | 2008-06-17 12:17 | 日々是好日